和食を彩る名脇役「つまもの(妻物)」を使ってみた

家庭料理の手法

「つまもの」とは

 わたしが「つまもの」という言葉を知ったのは最近だ。

 自炊をするようになり、料理を盛り付ける器や飾りつけが気になるようになっていた。どうしてもわからないことがあった。日本料理のお店では、お刺身とか焼き物とかに紅葉の葉っぱとかきれいな植物が添えられていることがあるけれども、それはどこで売っているんだろう?ということだ。

 日本料理について紹介する政府広報の和食の写真でも、キレイな紅葉とか笹の葉が写っている。

引用元:政府広報「和食:伝統と職人技の結晶」

 いろいろ調べた結果、それは「つまもの(妻物)」という名前で呼ばれていることが分かった。日本料理に添える木の葉や山菜、野菜を総称して「つまもの」というらしい。また、日本料理では、飾り切りやつまものを使った装飾のことを「あしらい」ともいうらしい。

 つまものの代表的なものとしては、大根やニンジンを細く切った「さしみのつま」や、大葉などがある。お刺身に添えられている黄色いお花や、しその実なんかもそうだろう。わさびもつまものの範疇らしい。

 つまものは脇役だが、料理に彩りを添え、また、季節を感じさせるものだ。日本料理の情緒を演出する欠かせない存在だ。

つまものの入手方法

 つまものはどこで売っているのか。調べた結果、市場の近くなどに「つまものや」というお店があるようである。

 その後、一部のデパートの野菜売り場や、飲食店の方々が仕入れをするようなスーパーマーケットでも購入できることがわかった。

 また、通販でも扱っているところもあるようだ。

つまものを使ってみた(家庭料理での使用例)

 一般人でもつまものを入手できることを知り、つまものを見かけたときには料理に合いそうなものを購入してみるようになった。

緑もみじとミョウガ

 最初はこれだった。青い紅葉の葉っぱ。日本料理の食材には緑色が比較的少ないように思うが、鮮やかな緑は彩りを与える。夏らしい印象になった。そして紅葉のかたちは「和」の情緒の典型でもある。

 ミョウガも大好き。かたちも色も、華やかだ。そして美味しい。

赤もみじと緑もみじ、稲穂

 その次はこれかな。赤色の紅葉🍁。本当にキレイ。この色とかたちは日本のトレードマークの一つと言ってもいいんじゃないだろうか。

 稲穂も🌾も郷愁を誘う。秋の豊かさを感じさせる。秋はご飯が美味しい。食欲の秋。

 ちなみに、このお皿に散りばめられている赤い花びらのようなものはつまものではない。伊勢海老の胸びれを茹でたものだ。とても綺麗に赤く発色したので彩りとして使ってみた。

竹の皮、緑もみじと芽ネギ

 この竹の皮もキレイ。なにかイメージが湧いてくる。飛脚が携えるお弁当はきっと竹の葉に包まれていたはずだ(妄想)。ちなみに竹の皮は竹を使った食器などを扱っているお店で発見した。

紅葉と稲穂

 このお皿にはサバと少量の米しか使われていないけれども、つまもののおかげで華やかに見えるような気がする。

南天の葉、柑橘

 南天の葉っぱはカワイイし、緑色が鮮やかだ。スダチ、柚子とかカボスといった柑橘も日本食には欠かせない。

南天の葉

 一本の南天の枝が料理を美しくする。

笹の葉、食用花(エディブルフラワー)

 ノドグロの下に敷いてあるのは青い笹の葉だ。これは妻物屋ではなく、製菓材料店で購入した。使いどころが多い頼れる存在だ。

 そして、メインのお皿の下のほうにある赤い花びらは食用花だ。様々な色、サイズの食用花があるようだ。使い方は難しいが、特別な雰囲気を演出する際には大きな力を発揮する。エディブルフラワーとも呼ばれているようだ。

柿の葉、紅葉、南天、食用花

 赤と緑のまだら模様が美しい柿の葉。これも特別な雰囲気を与えてくれる。秋を感じさせるものでもある。

芽ネギ

 芽ネギもつまものだ。これは見た目が美しいだけでなく、食べても鮮烈な風味と爽やかな後味が印象的で美味しい。

つまものの保存方法

 実際に使ってみて分かったことの一つは、つまものは結構日持ちするということだ。乾燥しないようにジップロックに入れて冷蔵庫の片隅に置いておけば相当に日持ちする。最初のころに買った南天の葉っぱは2ヶ月を経過してなおピンピンだ。

つまものの現状-もっとつまものを使いたい!

  コロナ渦の最中、下のような記事があった。つまものの販売がふるわないらしい。

つまもの苦境 少量パック、高級弁当、お節用…新たな需要に活路

日本農業新聞2020年8月1日https://www.agrinews.co.jp/p51513.html

 日本料理を食べることができるレストランや宴会場、旅館などの利用が減っているからだという。最近は需要も少々戻ってきたようだが、一般消費者もつまものを入手しやすい環境になれば、自宅での料理もさらに楽しくなるだろう。

 つまものを使えばいつもの料理が華やかになり、美味しくなる。今後も盛り付けにつまものを使っていきたい。いろいろなつまものを使ってみたいし、上手に使えるようになりたいものだ。

タイトルとURLをコピーしました