鯛を入手した!
マダイを一尾、手に入れたよ!
鯛は特別な魚だ。特別なときに食べる魚という印象がある。別格の魚だ。
さてどうやって食べようか。期待が高まる。今回のものは、養殖の活締めのものだ。重量は1320g。
鯛の価格とコロナの影響
高級魚である鯛も、最近はコロナの影響などで良いものを入手しやすくなっているようだ。
豊洲市場を含む東京都中央卸売市場の鯛の卸売価格をまとめてみた。平成29年1月以降のデータをグラフ化した。
今年、令和2年はマダイの価格が著しく低調だ。8月の平均価格を比較すると、過去3年はいずれも1000円以上の価格であったのに対し、今年は600円台だ。
コロナで飲食店での需要が冷え込んだことがその原因の一つであることは間違い無いだろう。生産や流通に携わる方々のご苦労は計り知れないが、われわれ消費者にとっては良いお魚を食べることができる大きな機会でもある。このチャンスを逃してはならない。
鯛をさばく!(動画)
しかしまずは鯛をさばかなければ!お魚をさばくのは6回目だ。鯛をさばくのは初めてだ。とうとう鯛に挑戦するときがやって来た!
今回も記録動画を取りました。悪戦苦闘しています。鯛は骨が硬いし、大きいし、難しかったです。大きな失敗もしてしまいましたが、幸いなことに今回は大丈夫でした。是非動画をご覧ください!
さて、さばいた。身が柔らかい。ぶらんぶらんだ。死後硬直がまだ始まっていないんだろう。
苦玉をつぶしてしまうというアクシデントがあったが、素早い対応で乗り切ることができた(と思う)。
死後硬直が始まる前の鯛の味
今朝活け締めにされたばかりの鯛なので、しばらく寝かせた方がいいとお魚屋さんからアドバイスを受けた。今日食べると「ブヨブヨで美味しくない」らしい。なんてことだ。今日食べちゃダメなほど新鮮なお魚があるなんて。
しかし食べてみたい。ちょっとだけならいいだろう。ちょっとだけ。
なるほど、死後硬直も始まっていないであろう鯛はこんな感じなのか。
おいしいじゃないか。旨味も十分に感じられる。食感が独特だ。とてつもない弾力。舌を弾き返すような感触だ。まるで自分の舌が磁石になったみたいだ。私の舌がN極で、鯛の身もN極だ。はじき返される感じ。ぶよぶよというか、ブリンブリン。確かにこれは旨味を感じづらいかもしれない。でも、鯛独特の強烈な旨みはすでにそこにある。これはおいしい。
鯛の姿造り
そして、忍耐と我慢の時を乗り越え、1日が経過した。冷蔵庫で鯛の身はどう変貌を遂げたのか。今回は4種の食べ方で楽しむことにした。
刺身
お刺身を切りつける。美しい。鯛の身は赤い部分がある。そして透き通る。透明だ。この美しさだけでもうお腹いっぱいになるくらいだ。
湯霜
湯霜にしてみた。皮を残した身にキッチンペーパーをかぶせて熱湯をかける。そしてすぐさま氷水で粗熱をとる。事前に皮に切れ目を入れるのを忘れていた。美しく皮が縮んで身が反り返る。
焼霜
次は焼霜だ。皮に切れ込みを入れ、バーナーであぶる。香ばしい良い香りが漂ってくる。そしてこれも氷水で粗熱を取る。
あぶった後に水につけると香ばしさがなくなるのではないかと心配していたが、そんなことはなかった。
昆布締め
さばくときに仕込んだ昆布締め。12時間ほど締めた。美しい琥珀色になっている。水分も抜けて刺身とは明らかに違う表面の具合だ。これは楽しみ。
今回の昆布締めはサクではなく、一枚一枚切った後に昆布で締めた。サクでやるとどうなるのかな?次回の楽しみだ。
左が昆布締めで右が刺身だ。色合いが違う。どちらも透き通っており美しい。
鯛の姿盛りの盛り付け(動画)
さて、盛りつけるべきパーツはそろったので、いよいよ盛り付けていきたい。今回は盛り付ける過程も動画に撮ってみた。試行錯誤の過程を是非ご覧ください!!
盛り付けるときに感じたことは、「硬くなっている」ことだ。さばいた時には簡単に開いていた口は開かないし、ヒレを開くのも難しい。死後硬直によるものなんだろう。
鯛は綺麗だ。赤色も美しいし、目もキレイだ。愛着さえ湧いてくる。
味わい
姿造りは最高だった。刺身のフレッシュな爽やかさと鯛らしい旨み。一日経つと食感が変わり、舌にフィットするようになっていた。
そして昆布締めの濃厚さ。昆布締めはすごいね、風味と脱水力が。これを最適な加減にする術を身につけたい。個体によって水分量とか違いそうだからすごく難しそうだが。今回はやや水分が抜けすぎていたような気もした。締めた時間は12時間だったが、薄切りにしていたことと昆布の乾燥具合によるものかな。昆布をもう少し湿らせても良かったのかもしれない。
湯霜と焼霜も最高だった。皮は美味いし、美しい。焼霜は香ばしさがスゴい。この皮の香ばしさと香り鯛の凄さの一つかもしれない。
鯛の旨味を十分に堪能した。鯛はいつもおいしい。いつも期待を裏切らない。でも、この鯛は味が濃い。活け締めだからなのか、食べるタイミングなのか。もともと良い鯛なのか。最高だった。
鯛めし
鯛めしも楽しんだ。贅沢な鯛めしだ。美味しい。鯛を炊くと香りがたまらない。身もしっとりしてホクホクだ。本当に贅沢な味。
鯛の兜煮(鯛のアラ煮)
あらは煮付けにした。姿造りにしたので、見栄えのためにある程度身を残した部分があった。カマの周辺の身だ。そういう部分は最高に美味しい。腹骨と血合い骨の周りの身も最高だ。姿作りのためにつなげるように残しておいたお腹の身が美味しい。
あと、頭のてっぺんの身とほっぺたの身が最高だった。新鮮なアラは本当に最高。
鯛を楽しむ
鯛は本当に贅沢だ。どうやっても美味しいんだろう。これを自分でさばいて食べることは、家庭料理の一つの到達点かもしれない。しかし、これをさらに美味しく食べる方法があるに違いない。また機会があれば挑戦したい。楽しみだ。
余談
鯛の内臓を調べてみる(動画)
内臓も美味なようだ。今回はどのようになっているかを見てはみたものの、食べなかった。次回は食べてみたい。
天然物の鯛の卸売価格の推移
天然物の鯛の卸売価格の推移も調べてみた。こちらもやはり今年は例年と比べて安価なようだ。コロナの影響だけでなく、今年の5月頃に日本海側でマダイが豊漁だったことも影響しているようだ。